ボヤイの定理
面積の等しい 2 つの多角形は、一方を有限個の多角形に切り、回転と平行移動で組みかえると、もう一方にできる。
解説
ボヤイの定理とは
面積の等しい 2 つの多角形 A, B があるとき、A を有限個の多角形に切り分け、回転と平行移動で組みなおすと、B と合同な図形が作れる。これをボヤイの定理という。ボヤイ–ゲルヴィンの定理、ウォレス–ボヤイ–ゲルヴィンの定理とも呼ばれる。
逆に、切って組みかえても面積は変わらないので、組みかえられる 2 つの多角形の面積は等しい。つまり、2 つの多角形が切って組みかえられることと、面積が等しいことは同じである。
ボーヤイ・ファルカシュ(1832 年・1833 年)と P. ゲルヴィン(1833 年・1835 年)がそれぞれ証明した。ウィリアム・ウォレスが 1807 年ごろにすでに示していたとする文献もある。
証明のすじみち
まず、多角形を三角形に切り分ける。次に、それぞれの三角形を、1 辺の長さが 1 の長方形に組みかえる。それらの長方形を積み重ねると、幅 1、高さがもとの面積に等しい長方形になる。
面積の等しい 2 つの多角形は、どちらも同じ長方形に組みかえられる。その長方形を、両方の切り方の線で同時に切れば、一方の多角形からもう一方へ組みかえる切り方が得られる。
この証明の手順で切ると、ピースの数は、必要な最小の数よりずっと多くなることがふつうである。
このツールの切り方
三角形 → 長方形:いちばん長い辺を底辺にし、残りの 2 辺の中点 D, E を結ぶ(中点連結線)。上にできた三角形を、頂点から DE への垂線でさらに 2 つに切る。この 2 つを D, E のまわりに 180° 回すと、底辺は同じで高さが半分の長方形になる。面積は 底辺 × 高さ ÷ 2 のまま変わらない。
長方形 → 正方形:横 W、縦 H の長方形から、1 辺 s = √(WH) の正方形を作る。左上の頂点と、左下から s の位置の点を結ぶ線で切り、上のピースをその線にそってすべらせる。左にはみ出した小さな三角形を右下のすき間に動かすと、正方形になる。この 3 ピースの切り方は W ≦ 4H のときに使える。
三角形 → 長方形 → 正方形 とつなげれば、どんな三角形も正方形に組みかえられる。
正三角形と正方形:デュードニーの切り方
ヘンリー・デュードニーは 1902 年に、正三角形を切って正方形に組みかえる問題を出した。C. W. マッケルロイが送った 4 ピースの解を、デュードニーは 1907 年の本『カンタベリー・パズル』で発表した。
4 つのピースは頂点でつながったまま回すことができ、ちょうつがいでつないだ切り方(ヒンジ付きの分割)の有名な例になっている。
1 辺 a の正三角形の面積は (√3/4)a² なので、正方形の 1 辺は √(√3/4) × a ≈ 0.658037a となる。
立体では成り立たない:ヒルベルトの第 3 問題
ダフィット・ヒルベルトは 1900 年に出した 23 の問題の 3 番目で、「体積の等しい 2 つの多面体は、いつも有限個の多面体に切って組みかえられるか」を問うた。
同じ 1900 年に、ヒルベルトの弟子マックス・デーンが、答えは「いいえ」であることを示した。デーンは、辺の長さと面と面のなす角から決まる量(デーン不変量)を考え、これが切って組みかえても変わらないことを使った。立方体のデーン不変量は 0 だが、正四面体では 0 にならないので、体積が等しい立方体と正四面体は、切って組みかえることができない。